3−3.コンパクトカメラでのテーブルフォトの撮り方


最近はデジタル・コンパクトカメラも高性能・高画質になってきているので、使い方を工夫しさえすれば、一眼レフカメラで撮影したものにも劣らないきれいな写真が撮れるのではないでしょうか。 そこで、花を被写体にして、コンパクトカメラでの上手なテーブルフォトの撮り方を考えてみました。


なお、ここで使用したカメラは『キャノン PowerShot A570IS』です。 このカメラは、マニュアルでの撮影モードが充実しており、手ブレ補正機能も搭載しているので、接写をすることが多いテーブルフォトの撮影には便利です。


3−3−1. ピント合わせ

コンパクトカメラで写真を撮る場合、露出やピントなどすべてをカメラ任せにしてしまうことがほとんどだと思います。 通常はそれでうまくいくのですが、接写することが多いテーブルフォトでは注意した方がよい点があります。


被写界深度

被写界深度というのは、ある一点にピントを合わせたとき、その点の前後で実用上ピントが合ったものとして許容される程度のボケに収まっている範囲のことで、簡単に言うならピントが合っているように見える範囲ということです(下図のピンク色の範囲)。



被写界深度は、レンズの焦点距離が長くなる(望遠になる)と浅く、短くなる(広角になる)と深くなり、絞りは開けるほど浅く、絞り込むほど深くなります。 また、撮影距離が近いと浅く、遠いと深くなり、ピント位置の前後では前側の方が後側より浅くなります。 したがって、接写をするような場合に絞りを開けて撮ると、とくに手前側にある物が被写界深度からはずれてボケてしまいやすくなります。


絞り値を変えることでボケ方にどれくらいの差がでるのか、確かめてみました。 下の2枚の画像は、どちらもピントをマニュアルで最短撮影距離(画面の上部後方の花辺り)に合わせています。 画像 3-3-2は絞り値をF4.0に設定し、画像 3-3-2はF8.0にして撮影しています。


 3-3-2

 3-3-3

縮小された画像では分かりにくいので、元の大きさの画像から一番手前の花(画面右下)の中心部を切り出して見てみます。 画像 3-3-4が絞り値F4.0で撮影したもので、画像 3-3-5が絞り値F8.0で撮影したものです。


 3-3-4

 3-3-5

絞り値F4.0とF8.0ではボケ方にかなり差が出ることが分かります。


通常はカメラのプログラムが被写界深度まで勘案して絞り値などを決定してくれるのでそれほど気にかけることもないのですが、暗い室内での撮影などで絞りが開放近くまで開いてしまうような条件や、絞り優先AEモードで自分で絞り値を決める場合には、注意した方がよいと思います。


また、被写界深度内にあるといっても、それはピントが「合っているように見える」だけのことなので、絞りを絞って被写界深度を深くしただけで安心せず、ピントは画面構成上一番ポイントとなるところにしっかり合わせるようにすることが肝要だと思います。


最短撮影距離

私がよくやる失敗のひとつが、カメラの最短撮影距離を越えて被写体に近付き過ぎてしまうことです。 最短撮影距離を割り込めばカメラが警告を発してくれるのですが、撮影に熱中しているとそれにも気がつかないことがあります。 下の画像 3-3-6では寄り過ぎのため下の花の中心にピントが合わず、失敗作になってしまいました。


 3-3-6

マニュアルフォーカス

マニュアルフォーカスが可能な機種であれば、接写ではその機能を利用してみるの有効かもしれません。 画像 3-3-7では、画面右下の一番手前の花の中心にピントを持ってきたいので、そこからカメラまでの距離を物差しで測りマニュアルで撮影距離の設定をしました。 そして被写界深度を考えて、絞りをできるだけ絞り込んで撮影しています。


 3-3-7






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